モーツァルトはショパンのように弾く?

音楽界には、ことわざのような不思議な言い伝えがあります。
「モーツァルトはショパンのように、ショパンはモーツァルトのように弾け」というものです。

一体どういう意味なのでしょうか?

時代も楽器の構造も違う二人

この二人は、生きた時代はもちろん、使っていた楽器の構造にも大きな違いがありました。
モーツァルトの時代の鍵盤楽器は、今のピアノとは程遠い「クラヴサン(チェンバロ)」に近い
軽やかなタッチの楽器や、 進化の途上にあったフォルテピアノでした。

音域も今のピアノよりずっと狭いものでした。その後、楽器は急速に進化を続け、ショパンの頃には現代のピアノに近い、広く豊かな音域と表現力を持つ楽器が登場していました。

世間のイメージとは逆、という格言

楽譜を見ると、ショパンの方が「こう弾いてほしい」という具体的な指示(楽語)が多く、
書き尽くされています。対してモーツァルトの楽譜は、指示が非常にシンプルです。

ここで、世間一般のイメージを思い出してみてください。
モーツァルトは「型を崩さず、淡々と正確に弾くもの」と思っていませんか? しかし、実は自由人であった
モーツァルトの精神を表現するには、ショパンのように色彩豊かな感情を乗せてこそ、その本質が浮かび上がるのではないか……という考え方があります。

逆にショパンは、楽譜に速度調整(5連符や11連符など)まで細かく指定されているため、実は余計な色付けをせず、モーツァルトのように淡々と忠実に弾くことで、ショパンが意図した美しさが際立つのだ、という解釈ができるのです。

世間のイメージに縛られすぎないことが、名曲への理解を深める鍵なのかもしれません。 次にこの二人の曲を弾くときは、ぜひこの「逆のイメージ」を意識してみてはいかがでしょうか。😀

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